【連載】 サックス奏者 販路開拓の旅(6) 旅のつづき

宮本美香さんが訪れたJR山形駅
宮本美香さんが訪れたJR山形駅

◆旅のつづき

小規模事業者持続化補助金に関係する全ての手続きを終えた後も、演奏の旅は続いています。

11月下旬に、東北地方で演奏活動をしている知人のコンサートに、ゲスト出演をさせて頂きました。

このコンサートへの出演を相談されたのは4月です。その頃は、夏に予定している独演会に向けて伴奏の音などの制作を進めていました。

山形と仙台という遠く離れたところが開催地でしたが、迷うことなく引き受けました。それは自分の音楽を各地で演奏する方法を模索する中で、挑戦の好機だと感じたからです。

コンサート前日の夕方に、仙台へ移動しました。

仙台駅に着くと、想像以上に大きな街で驚きました。防寒対策が心配でしたが、気温はまだあまり低くなくて、安堵しました。

ライブ出演のために仙台を訪れた宮本美香さん
ライブ出演のために仙台を訪れた宮本美香さん

翌日、山形の会場へ向かうため、バスで移動しました。道中、紅葉した山々を眺めながら、こんな風に音楽を奏でながら日本中の素晴らしい景色を見たいと思います。このような感情も、音楽を奏でる上での表現力や想像力につながります。

会場に到着して準備を終えると、来場されるのは初対面のお客さんばかりです。見ず知らずの人たちの前で演奏させて頂く機会に、より一層、気合が入りました。

私の出番になり、持ち時間は20分間です。

1曲目は、ご挨拶代わりの演奏です。私のサックスに興味を持って頂けるように、誰もが知っている曲から始めました。最初の旋律を聴くとすぐにお客さんが笑顔に変わり、音楽に聴き入っている様子がうかがえました。

2曲目は、ライブらしい雰囲気が作れるかどうかを試したい思いで、自分で作曲した「イントロダクション」を演奏しました。曲の途中で、お客さんに手拍子を促したり、コールアンドレスポンス(呼びかけと応答)をしたりするシーンがあります。しっかりと反応がありました。曲の後半では自発的な手拍子も生まれ、予想通り会場の雰囲気が和やかになりました。

最後は、演奏しながら客席の中に飛び込んで行きました。客席に腰掛けて演奏したり、一番後ろの席の方にもご挨拶をしたりしながら練り歩きます。すると、会釈をしてくださる方や、手拍子したり身体を揺らしたりされる方など、様々おられました。

翌日は仙台で演奏するため、バスで再び仙台へ戻りました。

会場で準備を終えて開場時刻になると、やはり初対面のお客さんばかりが来場されます。演奏の内容は、山形の時と同じ流れで組みました。お客さんの様子も、山形での反応とよく似ていて、手応えを感じました。

仙台で演奏をする宮本美香さん=2024年11月
仙台で演奏をする宮本美香さん=2024年11月

どちらの会場でも、オリジナルグッズを買ってくださる方がいて励みになります。私の音楽が、初対面のお客さんに受け入れられたようです。交流を深められた充足感に満たされた2日間でした。

今年は、東京・広島・山形・仙台で演奏することができました。どこの町で演奏しても、音楽を通じて同じように人と心を通い合わせることができると実感しています。

以前の私は、行動の先に得る利点や欠点ばかりに思考が働いてしまいなかなか動けませんでした。今では各地で出会えたお客さんのことを思い出すたびに、また挑戦する力が湧いてきます。

だから、これからも演奏の旅を続けたいです。

そしてこの経験を、山陰に還元できるような演奏家になりたいと思います。

これをお読みいただいている皆さまにも、いつかどこかでお会いできますように。
【宮本美香】

○ 宮本美香 ○
島根県松江市在住のサックス奏者。学校教員を経て2009年から演奏家として活動を開始。販路開拓を支援する補助金「小規模事業者持続化補助金」を商工会議所へ申請。2023年11月に採択される。採択された事業「宮本美香 ソロ演奏ツアー」を開催した。

(4月から行って参りました、この連載は今回で一旦終了となります。お読みいただきありがとうございました)
【編集部】

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