◆未来を撮りに行く
私は今、ずっとやりたかった「演奏ツアー」の実現に向けて動いています。
まずは宣伝用の写真をリニューアルすべく、4年ぶりの撮影へ。
松江を20時台に出発して、夜行バスで11時間。
鮎沢パーキングエリアで初めて肉眼で富士山を見て、神聖な気持ちになりながら更に東京から電車で1時間弱。目的地の埼玉に到着しました。
撮影をお願いした小山雅嗣さんは、佐野元春さん等著名ミュージシャンの撮影やデザインを手掛けるフォトグラファー。山陰にも何度か撮影に来てもらいましたが、今回は私が関東方面での撮影を希望しました。
翌日に備え、軽く会ってお茶でもしようかという話になり、4年ぶりの再会。
SNSのお陰か「全く久しぶりの感じがしないね」と何気ない会話を繰り返しながら、身構えていた私の心は丸く穏やかになりました。
1日目は、スタジオでの撮影。
自分で化粧をして、衣装に着替える。そこから先はスタッフの皆さんに支えられ、4つのスタジオで撮影。
鏡に映る自分の姿をチェックしながら、この写真を使う未来が目の前にあると思えました。
見たことのない形状のライト、手動で当てがわれる白黒の大きな板、撮影の瞬間だけ光が差したように映る暗い窓など、テーマパークのような世界。
プロフェッショナルな人たちの言葉や態度は常にスマートで、私の仕事に置き換えても共通すると思える発見もありました。
雅嗣さんは撮影の瞬間に息を止めてしまうそうですが、私も息を止めていました。
2日目は、ロケーション撮影。
雅嗣さんが、あらかじめロケハン(下調べ)してくださった場所に行きました。新鮮なシチュエーションで、なかなか気の利いたポーズができないのですが、雅嗣さんが「よし、撮れた!」と言われるたびに安堵するのでした。
電車で埼玉から東京へ移動中、隣の席にカバンを置く私に雅嗣さんが「カバンを持って!」とジェスチャー。案の定、駅に停まるたびに人が流れ込んであっという間に満席。山陰では通勤通学ラッシュの時間帯以外に満席になることは無く、油断していました。
東京駅付近で都会の気分も楽しみながら、15時ごろに全撮影を終了して、解散。
コインロッカーに楽器と荷物を預けた後、ダイエット中に食べたかったものを一気に食べて、夜行バスに乗りました。
撮影をすると、未来でどんな使われ方をするか知っていたかのような、ベストショットの写真が撮れていることが、よくあります。
どんな未来が撮れたのか、楽しみです。
【宮本美香】
○ 宮本美香 ○
島根県松江市在住のサックス奏者。学校教員を経て2009年から演奏家として活動を開始。販路開拓を支援する補助金「小規模事業者持続化補助金」を商工会議所へ申請。2023年11月に採択される。採択された事業「宮本美香 ソロ演奏ツアー」を行うため奮闘中。
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