
(復路 機内食編より続く)
グレーターベイ航空米子香港便は快適な旅を終えて、米子鬼太郎空港に到着した。旅の最後に、やらなくてはならないことがある。香港ドルを日本円に両替することだ。
米子鬼太郎空港には、スタッフが常駐する両替所が無い。自動両替機により両替をすることになる。ほとんどの紙幣は簡単に両替できたが、1枚だけ自動両替機では受け付けない紙幣があった。
近くの観光案内所スタッフに相談した。米子鬼太郎空港ではどうすることもできず、銀行に持って行って両替しなくてはならないとのことだ。
後日、ゆうちょ銀行に持って行った。ゆうちょ銀行では数年前に外貨両替の取り扱いが終了していた。みずほ銀行でも取り扱っていない。
地方銀行の山陰合同銀行に持っていった。両替できず、郵送による両替を案内された。山陰合同銀行の本店に送るわけではなく、提携している両替サービスの会社に送ることになる。
山陰合同銀行から案内された、郵送による両替は「外貨郵送買取サービス」という。
このサービスは「外貨郵送買取依頼申込書」に記入して、外国紙幣と一緒に郵送する。送り先は、東京都港区にある「トラベレックスジャパン株式会社」だ。
この会社は、日本の主要都市や空港で外貨両替専門店を運営している。郵送による外貨の買い取りも行っている。
ここで、1つの疑問が浮かび上がった。
「外貨郵送買取依頼申込書」には「一般書留にてお送りください」と書かれている。しかし、山陰合同銀行の支店職員によると「現金書留」のほうが良いとのこと。ところが、同じ支店で別の職員に聞くと「一般書留」で送らなくてはならないという。

外貨は「一般書留」で送るのか、それとも「現金書留」で送るのか。最終的に山陰合同銀行では「郵便局で確認してください」という話しになった。
郵便局へ行き確認すると、郵便局職員も判断に迷っている。上司に確認した。上司も、すぐには答えられない。職員が4人がかりで調べてくれた。その結果、外貨は「現金書留」では送れない、ということが判明した。
外貨は「一般書留」で送らなくてはならないのだ。
郵便局の職員全員が「初めて知った」と驚いている様子だった。
「現金書留」は、日本銀行が発行した紙幣と日本国政府が発行した貨幣を対象としている。外貨は日本銀行や日本国政府が発行したものではない。したがって、現金書留で送ることができる「現金」には含まれないということだ。
郵便局のホームページには「Q&A」があり、確かにそのような趣旨のことが書いてある。
後日、郵便局のお客様サービス相談センターに電話して、その法的根拠を聞いた。
「郵便局のルール」としか回答はなく、法的根拠は示されなかった。
郵便局の窓口で、さらに調べてもらったところ法的根拠があるわけではないことが分かった。「現金」という単語の定義は、文脈によって微妙に意味が違ってくるのだ。
一般的に使われる概念としては、外貨を含めてもよさそうなものだ。実際、簿記や会計の用語としては外貨も含まれる。
しかし郵便制度上の「現金」は、「特定の国や地域で通用力を有する通貨」のことを指す。このため日本国内においては、「日本円」だけが「現金」なのだ。
(つづく)
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