◆小規模事業者持続化補助金で得た力
補助金を活用した演奏ツアーのライブを7月下旬に終えてすぐ、書類の作成に取り掛かりました。事業活動を行うために支払った費用や、その内容、収益などの実績報告書です。証拠書類についても提出します。
4月の写真撮影、6月の事前稽古、7月の演奏会について行動したことを思い出しながら、指定の書式に入力します。領収書や交通機関の利用履歴を確かめながら行います。
聞き慣れない言葉が多く、「商工会議所地区小規模事業者持続化補助金事務局」に何度も確認して書類を完成しました。その後、松江商工会議所職員の方に点検して頂きます。計算ミスがあり、訂正後に再度点検をして頂いて、8月上旬に郵送で提出しました。
約3週間後、松江商工会議所から「内容は分かりませんが、何らかの不備があったようで、間もなく連絡がくると思います」と連絡が入りました。
数日後に事務局から連絡がありました。「CD(撮影した写真や制作した音源など)が添付されていない」ことや、「タクシー料金は補助対象外のため対象経費から外すように」といった内容を伝えられます。
その後、CDは正しく送られていたと分かり安堵しました。タクシー代については如何なる理由でも例外は認められないとの説明がありました。
申請時の事業計画では、開催地について東京・大阪・福岡・広島を予定していました。しかし事業を進めるうちに、集客数がより多く見込める開催地に絞ることに変更しました。
その変更承認を得るための書類を提出した際、「会場までタクシーを利用します」と明記しています。このため補助対象として申請できるものと思い込んでいました。補助事業の手引きには、タクシーは補助対象外であることが記載されています。
事務局の方から丁寧な説明を受け、納得した上で内容の修正を行って、9月上旬に改めてメールで提出を完了しました。
9月下旬に、補助金額の確定通知書が届きました。交付決定額より、5万円くらい減額されています。「補助金精算払請求書」を送付し、10月下旬に無事、振り込まれました。「補助金精算払請求書」は、決定した補助金額の支払いを請求するための書類です。
演奏活動を行う際に経費について大まかに計画を立てたことはありますが、ここまで取り組んだのは初めてです。
演奏の旅に出ようと思う時、ライブ全体の収支を想像して「赤字にならなければ・・・」くらいは普段から考えます。今回、計画を立てて実際に行動したことで、移動に必要な経費も具体的になりました。今後に活かせそうな、ひとつのモデルができたと思います。
補助金を活用する難しさも感じます。
まず、補助事業の手引きを読み込めていなかったことで、予想外の出費が生じてしまったことです。そして、事業を進める中で最良な選択肢を見出しても、最初の計画に沿って進めなければならない点があることなどです。
今、山陰で演奏する際に「広島と東京でライブを開催した」という話をすると、お客さんから感嘆の声が聞こえ、励みになります。
行動して得られた全てが私の自信に繋がりました。会場探しに苦労したこと、演奏会で見た景色、出会えた人など、旅に出て得た経験が大きな財産となっています。
今度は、山形と仙台で演奏します。(つづく・・・)
【宮本美香】
○ 宮本美香 ○
島根県松江市在住のサックス奏者。学校教員を経て2009年から演奏家として活動を開始。販路開拓を支援する補助金「小規模事業者持続化補助金」を商工会議所へ申請。2023年11月に採択される。採択された事業「宮本美香 ソロ演奏ツアー」の第1回目を7月に開催した。
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