島根県出雲市在住のウォーキング講師、片山ゆうきさんがウォーキングによる少子化問題解消をめざしている。片山さんはポスチャーウォーキング協会公認講師「ポスチャースタイリスト」の資格を持つ。山陰で唯一の「ポスチャースタイリスト」だ。
「ポスチャーウォーキング」とは、美しい姿勢で心と身体の健康を促進させる歩き方のことだ。岡山県出身のKIMIKO(きみこ)さんが2000年に考案した。通常のウォーキングと比べ、姿勢を正した見た目に美しい歩き方を重視している。東京都江戸川区にある「一般社団法人ポスチャーウォーキング協会」が普及を図っている。同協会の講座は、これまで日本と海外を含めて約30万人が受講している。
片山さんによると「ポスチャーウォーキング」は通常の歩き方に比べて1.2倍のエネルギーを使うため機能性が高いのだという。静岡大学教育学部の杉山康司教授が「保健体育教材として役立てられるのではないか」との論文を出している。
「ポスチャーウォーキング」には「産後ダイエットレッスン」という講座がある。「ポスチャーウォーキング」を産後の母親向けに調整したものだ。同講座は「抱っこひも」を用い、赤ちゃんを抱っこして歩くところに特徴がある。ベビーカーの押し方や、子供を抱えながらの歩き方などについて指導する。
産後の母親には肩こりや腰痛、体型の変化に対する悩みが多い。精神的に不安定になる人もいる。産後の不調で2回目以降の出産を諦める人は多いという。「産後ダイエットレッスン」はこうした悩みを解消するとして受講生に人気がある。
片山さんは、自身が出産を経験し、産後に気力体力とも落ち込んでいたことがある。「ポスチャーウォーキング」に出会い、ようやく子育てと自分の人生を楽しいと思えるようになった。「ポスチャーウォーキング」を学んで実践したことで、子育ての不安から解放された。二人目の子供を出産する前は不妊の状態だったが、身体面と精神面が整ったことで解消された。現在では三児の母となっている。
片山さんは、こうした経験から「産後ダイエットレッスン」は少子化対策に役立つと信じる。
片山さんは協会の中で「産後ダイエットレッスン」の指導的立場にある。2017年から島根県雲南市の「子育て支援センター“くりおね”」で7年間同講座を行ってきた。自宅に個室のスタジオを完備していることから、コロナ禍でも少人数でレッスンを継続して行うことができた。
「産後の母親が元気でいることは日本の少子化対策につながります」と話す片山さん。
「このレッスンで学んだ歩き方をすることで、散歩や買い物の時間が、体の引き締めやリフレッシュの時間に変わります」と利点を語る。
2020年7月からはオンラインレッスンも始めた。今年6月には香川県でレッスンを行う。「ご依頼があれば全国どこにでも行きます」と意気込む片山さん。
将来は助産院や大学病院との連携をめざし、少子化対策に取り組む。