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【連載】歯科医「太田秀人」 太宰府から口福(こうふく)を届けます⑤ ~災害時における栄養と心身の健康~

2025 11/02
全国/世界 鳥取(Tottori)
2025年11月2日
山陰プレス編集
東日本大震災の被災者を招待して行った書道交流会=2012年8月(福岡県内)
東日本大震災の被災者を招待して行った書道交流会=2012年8月(福岡県内)

こんにちは。福岡県太宰府市の歯科医、太田秀人です。

前回のテーマは、「子どもの口は履歴書」でした。「避難生活が結果的に口の中に現れたのではないか」という仮説についてお話ししました。

前回のお話は、こちらをご覧ください。
↓↓
【連載】歯科医「太田秀人」 太宰府から口福(こうふく)を届けます④ ~子どもの口は履歴書~

今回は、このような仮説についてです。

被災時の「食事の偏り」と「ストレスによる栄養の浪費」が、心身の調和を乱すのではないか。

東日本大震災から1年後、私は宮城県南三陸町の慰霊祭に参列しました。後日、現地にあった書道教室の生徒さんから手紙が届きました。中には次の3つの書道作品が入っていました。

「実夢」 「海心」 「誇里」

私は夏休みに、この生徒さんを福岡へ招待しました。手紙に書いてあった「福岡の皆様に伝えたいことがある」という言葉に心を動かされたからです。

書道教室の生徒から太田秀人さんに送られてきた書道作品
書道教室の生徒から太田秀人さんに送られてきた書道作品

ボランティアや災害支援関係者らと協力して、書道交流会や野球観戦、談話会などを企画しました。その席で彼女は震災当時の壮絶な体験を語りました。

2011年3月11日、小学校の卒業式を準備しているときに津波が襲い、町が壊滅しました。彼女の自宅は内陸で無事だったもの、断水や停電の中で車中生活を余儀なくされました。そして深刻な食糧不足に直面しました。

彼女たちは被災を免れた住民同士で、何千個ものおにぎりを作り避難所に届けました。ところが、感謝だけでなく不満の声も受けることになり、複雑な思いを抱きました。

彼女自身も支援物資が届くまでは缶詰や菓子パンなどに頼るしかなく、栄養の偏りを自覚しつつも好き嫌いなどは言えない状況です。食べなければ餓死するという極限状態でした。

被災地では物資の奪い合いや盗難が起こり、極限状態の大人が冷静さを失う「裏の被災地」を目(ま)の当たりにしたといいます。彼女は、その時に感じた想いを3枚の書道作品に込めてくれたのです。

「実夢」は、「じつげん」と読みます。「実らせるのが夢」という意味がこめられています。
「海心」は、「おもいやり」と読みます。「海のような広い心」という意味です。
「誇里」は「ふるさと」と読みます。「誇る、ふる里」の意味です。

手作りの九州料理で被災地から来た生徒をもてなす交流会(参加者のほうを向いて、中央奥で司会をやっているのが太田秀人さん)=2012年8月(福岡県内)
手作りの九州料理で被災地から来た生徒をもてなす交流会(参加者のほうを向いて、中央奥で司会をやっているのが太田秀人さん)=2012年8月(福岡県内)

「将来は薬剤師になって人の命を救いたい」と笑顔で語った彼女は、その後、薬学部に進学して国家試験にも合格しました。被災を乗り越え、自炊や自己管理を継続して夢を叶えた彼女を、心から誇りに思います。

私は彼女の経験を「食事とストレス」の観点から考察しました。

被災時の食事は炭水化物中心となり、ビタミンやタンパク質が不足します。さらに慢性的なストレスで副腎が刺激され、アドレナリンやコルチゾールが過剰に分泌されて、不眠や免疫低下などを引き起こします。

副腎とは、左右の腎臓の上にある小さな臓器で、生命維持に関わる大事なホルモンを分泌しています。コルチゾールとはストレスに対抗するためのホルモンです。

コルチゾールが合成されるとき、ビタミンCやB群、マグネシウム、亜鉛、鉄などが大量に消費されてしまいます。その結果、疲労や情緒不安定を招くのです。

被災者の心身の不調和には、こうした栄養バランスの崩壊とストレスによる栄養素の浪費が密接に関係したと考えられます。

私はその後も福岡から彼女を応援してきました。同時に災害歯科支援チームの設立やその研修を通じて、災害時には栄養と心身の健康支援が重要だということを伝え続けています。

平時からの備えこそが、同じ悲劇を繰り返さない道だと心から信じているのです。
【歯科医 太田秀人】

東日本大震災で被災した生徒を招待して行った書道交流会=2012年8月(福岡県内)
東日本大震災で被災した生徒を招待して行った書道交流会=2012年8月(福岡県内)

(注)記事の中に出てくる書道作品について、書道教室の生徒さんご本人から補足があります。

……以下、書道教室の生徒さん筆……

書道作品の「誇里」についてです。

実は「誇」ではなく、「亏」の部分を「号」に書き換えた言わば造字で、書いた文字は世の中に存在しない字です。

当時日本全国、世界各国から支援をいただいていたため、作品を書く上で「誰も傷つけない」よう漢字の成り立ち、意味、使われ方も調べて文字を選びました。

「誇」は「自慢する、大げさに言う」といった意味もあり、あくまでも「誰もがそれぞれにある地元」へのリスペクトとしての誇りを表現したいと思っていた私は、あまりしっくり来ていませんでした。

他にも色々な要素を考え、被災地からの「さけび」とこれからの復興への「合図、しるし」の意味を持つ「号」を当てはめて、存在しない字として書いたと記憶しています。

書道的には邪道なことかもしれません(苦笑)

太田秀人さんの写真

○ 太田秀人 ○
1987年、鳥取県立鳥取西高校卒業。長崎大学歯学部卒業後、2009年に福岡県太宰府市で「おおた歯科クリニック」を開業。2011年の東日本大震災・2016年の熊本地震・2017年の九州北部豪雨などで歯科支援活動を行う。その経験をもとに各地で研修会、講演等を行っている。

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