
アニメや映画、ドラマなどのサウンドトラックをエレクトーンで演奏すると、よく言われることがあります。
「音源を流しているかと思った!」「本当に弾いているの?」
エレクトーンだからこそ出てくる感想だと思います。エレクトーンは、たくさんの楽器の音を使って、原曲をかなり忠実に再現することができるからです。
しかし、その1曲を演奏できるようになるまでには、数々の工程を経ています。今回はエレクトーンで1曲練習を始めるまでの道のりをご紹介します。私のやり方です。
まずは選曲です。オリジナル曲の場合は、一から作成することになります。すでにある曲の場合は市販の楽譜やレジストデータがあるかを調べます。レジストデータというのは、曲で使う音色の組み合わせや、リズムの打ち込みなどを作成したものです。プロの編曲家さんが制作しています。市販の楽譜やレジストデータがあれば購入し、あとは練習すれば完成です。

今回は既存の曲で、市販のものがなかった場合で話を進めます。
曲が決まれば、曲を聴きこんで、どの音をどの鍵盤で弾くかを考えながら耳でコピーして楽譜に書き起こしていきます。
エレクトーンの楽譜は三段譜になっています。上の段から右手で弾く鍵盤、左手で弾く鍵盤、左足で弾く鍵盤です。
基本的にメロディーが右手、ハーモニーを作るコードは左手、ベースラインが左足です。
今はパソコンソフトを使って楽譜を作成するのが主流になっています。私も練習中です。ずっと手書きだったのでまだ慣れていません。普段はタブレットに専用のペンを使って手書きで楽譜を書いています。
耳でコピーする時はアプリで曲の速度を落として少しずつ進めていきます。

楽譜の次はレジストデータの作成です。私はリズムの打ち込みに時間がかかるので、まずリズムから作り始めます。
最初にドラムの音色を決めます。ドラムの音色には、たくさんの種類があります。曲のジャンルや雰囲気によって使い分けることで、曲の世界観に近づけることができます。
音色が決まったら、音が鳴るタイミングを打ち込んでいきます。エレクトーンに最初から入っているリズムパターンもあるので、それを使う方法もあります。自分で作ると、より原曲に忠実なデータになります。
自分で作る場合は、細かいタイミングや音量、音の長さを決めて1つずつ打ち込んでいきます。何小節目の何拍目の240の位置に…といった感じです。これを何十小節、何百小節と繰り返していきます。
リズムを作りながら鍵盤の音色作りも進めます。エレクトーンには1080種類もの音色が内蔵されています。その中から自分の理想の音を見つけて組み合わせます。
曲の場面によって楽器の音も変わってくるので、それに合わせてデータを何十通りも作ります。それらの音の組み合わせを変えるタイミングもリズムと合わせて打ち込んでいきます。
以上が基本的なレジストデータの作成です。エレクトーンは、かなり奥が深く突き詰めるとどこまででも作り込める楽器です。書ききれないほどの細かい作業もあります。個人的には、かなり気力が必要です。
楽譜とデータが揃ったら、あとは実際に練習をして演奏ができるようになって完成です。
エレクトーンは自力で楽譜やデータを作る場合、演奏の練習だけでなく、そこに至るまでの準備が大変です。意外と知られていません。
しかし作り方が全く分からなくても、市販のものを使えば原曲に忠実に作ってあるデータで楽しく演奏することができます。
いろいろな方法でエレクトーンを楽しむ人が、もっと増えていったらいいなと思います。
【エレクトーン奏者 ほりピ】
(注)「エレクトーン」はヤマハ株式会社の登録商標です。

〇 ほりピ 〇
鳥取県出身のエレクトーン奏者。4歳からエレクトーンを始める。一度エレクトーンから遠ざかっていたが、恩師の支えでプロ演奏家の道に進んだ。2025年4月に東京都内で初の路上ライブを行うと、観客がSNSに投稿した演奏動画が280万回再生を突破した。エフエム山陰でラジオパーソナリティも務める。ヤマハ音楽教室講師。
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