
<短大時代の1日>
アメリカに来て最初の2年間、私は「クラウド・カウンティー・コミュニティ・カレッジ(Cloud County Community College)」に通っていました。カンザス州にある短期大学です。
短大での1日は、例えば、こんな感じです。
午前5時50分、アラームの音を聞いて起きます。外はまだ暗いです。私はすぐに練習着に着替えて、数分後には寮を出ます。寮の外でチームメイトと合流して、学校と反対方向の農地へ向かいます。
クラウド・カウンティー・コミュニティ・カレッジは農地に囲まれています。農地の間を通る道は砂利道です。砂利道には傾斜もあって、坂道ダッシュなどの練習に最適です。私とチームメイトは毎週、月曜日に砂利道で朝練習をしていました。寮から徒歩3分でこの砂利道にたどり着きます。
午前6時、チームメイトと練習を始めます。日の出は7時頃なのでまだ暗いです。空を見上げるとたくさんの星が見えます。辺りには建物や街灯もないので、空が広く美しく見えます。練習中、流れ星を2回も見ました。流れ星は早朝の方が見やすいようです。

午前7時30分から生物の授業があります。チームメイトと一緒に取っている授業です。練習後は2人一緒に、急いで授業に行きました。坂道ダッシュをしていた砂利道から教室まで、歩いて10分以内に着きます。
午前8時過ぎ、授業の後はすぐに食堂へ向かいます。この短大で一番人気のあるメニューは、オムレツです。中に入れる具材は自由に決められます。それを食堂の女性スタッフが目の前にある鉄板で作ってくれます。
女性スタッフが作るオムレツはとても美味しくて、毎朝食べに来ます。私は毎回、いろいろなものを入れます。ハムやチーズ、ほうれん草、赤パプリカ、きのこ、ブラックオリーブ、トマトなどです。
この日、午前中は3コマの授業がありました。
12時からの授業前に少し時間があるので、お昼を食べます。
12時の授業が終わると一旦、寮に戻って休憩します。
棒高跳びの練習は午後2時から始まります。練習場所は地元の高校にある競技場を借りていました。競技場の中はフットボール用の人工芝です。その上で準備運動をしたり、練習前のミーティングをしたりします。
競技場での練習が終わったら、次はウェイトトレーニングです。それが終わったら、「トレーニングルーム」という場所に行きます。そこではアイシングができたり、ケガなどを診てもらったりすることができます。私はアイシングをしたり、圧縮ブーツをはいたりして練習後のケアをしています。

夕食は午後5時からです。ちょうど練習後になるので、食堂にはチームメイトがたくさんいます。私は夕食の時間が好きです。チームメイトたちと一緒にゆっくりご飯が食べられるからです。朝と昼は急いで食べることが多いのですが、夜はゆっくり話しながら食事ができます。それに食堂のテーブルは丸いので、みんなが向き合って食べられるのもお気に入りです。
夕食の後は寮に戻ってシャワーを浴びます。そのあとは課題などの勉強をするために、学校へ戻ります。学校には図書館とは別に、勉強専用の部屋があります。パソコンが12台と、大きなテーブルが5台もある部屋です。夜10時まで開いているので、集中して勉強ができる良い環境です。チームメイトの多くも、ここにきて勉強をします。一緒に勉強ができるので励みにもなります。
午後10時半、翌日の準備をしてから寝ます。
次から次へとやることがあって忙しい一日です。だけど、授業と練習以外にも、夕食や勉強の時間にチームメイトと一緒に過ごせるので毎日が楽しいです。
【棒高跳び選手 坂口ジャスミン紫苑】
○ 坂口ジャスミン紫苑 ○
鳥取県出身の棒高跳び選手。2021年6月の中国高校総体では大会新記録で優勝。2022年に出場した「日本選手権U20」では、自己ベストの記録で4位に入賞している。倉吉北高校卒業後はアメリカ・カンザス州にある短期大学「クラウド・カウンティ・コミュニティ・カレッジ」に進学。短大の全米大会で優勝し、ルイジアナ大学ラファイエット校にスカウトされて編入。現在(2025年)、アメリカで日本代表をめざす。ニュージーランド生まれ。

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