
鳥取県米子市を拠点に活動するペン画家のAkuto(あくと)さんが、米子市内で個展を開催する。
Akutoさんは島根県奥出雲町出身。地元の高校を卒業後、国立大学の薬学部に入学し、後に漫画家をめざした。デビュー直前までいったが、あと一歩で断念した。
その後、絵を描かない日々に耐えられないほど「描くこと」が好きだということに気づき、ペン画家に転身した。始めたきっかけは、体調をくずして入院している時だった。
退院後に描いた絵について綺麗な絵だと褒められた。まだ体調がすぐれず、負の感情や汚れたものを全部吐き出すつもりで描いた絵だった。褒められたことで、自分の心には、まだ綺麗な部分が残っているのだと驚いた。
ペン画家には「ボールペン」で絵を描く人が多い。Akutoさんは「つけペン」で描く。「ボールペン」は芯の中にインクが入っている。「つけペン」はペン先をインク壺に浸して描く、昔ながらの筆記具だ。
ペン先の形や硬さによって線の太さが変わり、力加減で線に強弱をつけることができる。このため漫画家やアナログのイラストレーターがよく使う。線が終わるときの処理がシャープになる。
Akutoさんの作品には、鳥や女性をテーマとしたペン画が多い。白黒だけで華やかな世界観を表現する。最近は白黒以外の作風にも挑戦し始めた。
ペン画のほか、イラスト制作も行う。地元タクシー会社のマスコットキャラクターの制作を担当した。Akutoさんの出身地、島根県奥出雲町はホッケーが盛んで、町をあげて振興に取り組んでいる。全日本代表のホッケー選手を多く輩出している。奥出雲町のホッケーキャラクターはAkutoさんが制作している。

Akutoさんは2016年から、島根県総合美術展において2年連続で「知事賞」を受賞した。「知事賞」は、この美術展の最高賞だ。以後、Akutoさんは島根県総合美術展の審査員となった。
表現したいものは変わるが、曇りのない絵になるように心がけている。負の感情を消し去るような絵を描きたいと思う。
ある人から言われたことがある。
「冷たくした香水の瓶の中に水晶をいれて、取り出して握った時に冷っ(ひやっ)とした感覚がある。Akutoさんの絵は、そういう雰囲気だ。人物を描いているのに生き物のにおいや温度を感じない。描かれる女性キャラクターが菩薩のようだ」
絵が心を映す鏡だと思う。常に穏やかで寛大であることを心掛けている。
2025年9月8日には、エフエム山陰の番組「髙田りおんのGO-! EVENING!(ゴーイブニング)」に出演する。
個展は2025年9月11日から15日まで、鳥取県米子市両三柳の「コミュニティプラザ百花堂」で開催される。入場は無料。
問い合わせは、電話0859(35)3911 「コミュニティプラザ百花堂」まで
