
鳥取県倉吉市出身の堀加奈子さんが、神奈川県で「夢」の支援に取り組んでいる。脳科学を活用した「コーチング」で、夢実現の手助けをする。
「コーチング」とは目標を達成するために、人が本来持っている能力や可能性を引き出す手法のことだ。コーチングではコーチ(支援者)が直接的な指示や助言を与えるわけではない。質問や対話を通じて相手が自ら考え行動する力を引き出す。
ビジネスの現場ではリーダーシップの向上や成績向上などに活用されている。スポーツではメンタル強化などに活かされている。
堀さんは大学を卒業後、英会話学校で営業の仕事に就いた。その後、転職して大手人材紹介会社でキャリアアドバイザーとなる。
「英語力をつけて海外留学したい」「外資系企業に転職したい」
このような、人々の「夢」を支援する仕事を続けてきた。振り返ってみると、いつも誰かの夢を支えていた。

夫の転勤を機に退職することとなった堀さんは自己肯定感が下がり、夢の手助けができないことに苛立ちを感じることとなる。人生に不安すら感じるようになった。子育てでも悩む日々が続いた。
そんな中、子育てに活かせないかと心理学を学び始める。その延長線上で、著名な脳科学者から脳科学やコーチングについて学ぶ機会も得た。その後、自分が学んだことを活用して、もう一度「夢」の手助けをやりたいと考えて起業することにした。
現在、心理学や脳科学を活用した起業支援なども行っている。コーチングやコンサルティング、カウンセリングといった内容で起業したい人に対して支援を行う。商品作りからSNSによる発信、集客、顧客支援のやり方などを教えている。
支援する内容は変化したが、人の成長や可能性を信じて手助けする仕事に返り咲いたのだ。

近年では「コーチング」が学校教育の現場でも活用されている。堀さんは次のように語る。
「脳科学とコーチングは学校生活の中で、コミュニケーションや、目標をたてる場面で活かせる。子どもたちが、一人一人自分が求める未来のゴールに向かって潜在能力を発揮できるようになります」
将来は地元鳥取の教育水準を上げることに貢献したいという思いがある。「教育と言えば、鳥取だよね」と言われるような地元にしたい。
堀さんは元々、鳥取が好きではなかった。地方が好きではなく、早く自立して都会に行きたいと中学生の頃から思っていた。成長して大人になり、いろいろな学びを通して自己理解を深める中で、地方出身というコンプレックスに向き合い解消してきた。
自らの経験から、「あなたたちにはもっと可能性がある」「もっと夢を自由に描いていい」ということを子どもたちに伝えたい。
堀さんは小さい時からたくさんの選択肢を見せてあげることが大事だと感じている。自分がワクワクすることは何か、得意なことは何か、やってみたいと純粋に思うことは何か。こういったことを何の制限もなく考えられるように、そばにいる大人が導いてあげると大きく飛躍すると考える。
堀さんの「夢」支援は、神奈川から鳥取の子供たちへと広がっていく。