
エレクトーン奏者として活動を始めて約3年、たくさんの場所で演奏してきました。
何十回、何百回と演奏すると、ハプニングが起きることもあります。今回はライブ中のハプニングについてのお話です。
私が普段よく演奏するレパートリーの中で、1番激しいと自信を持って言える曲があります。
「On Fire(オン・ファイヤー)」という曲です。
ドミニカ共和国出身のミシェル・カミロというジャズピアニストが作曲したものです。エレクトーン用にアレンジされた楽譜も出版されています。エレクトーンを弾く人からも大人気の曲です。
力強いラテンの曲でテンポも速く、高速なフレーズも随所に出てきます。
曲のテーマでは、2つ以上の音を同時に演奏する重音奏も出てくるため、演奏中に気を抜けません。
On Fireはライブでもたくさん弾いてきましたが、実は少し危険な曲でもあります。
この曲を初めてライブで演奏したとき、指から血が出てしまったのです。私は普段から演奏するときの動きが激しいほうではあります。しかし、さすがにケガはしたことがなかったので驚きました。
鍵盤を指で強く叩くように弾くため、指と爪の間を痛めてしまいました。それ以降もOn Fireを弾くと、なんと6割くらいの確率で血が出ます。
この曲は1曲を通してかなり激しい動きをするので、夏の屋外での演奏も熱中症にならないよう気をつけています。演奏後は息切れして、話ができるようになるまで時間がかかります。
そのくらいエネルギーのいる曲です。もはや命がけになってしまっていますが、名前の通り熱い曲なのでお気に入りの1曲です。
夏祭りでの演奏もハプニングが起こりやすいです。
夏祭りの演奏は、屋外で夕方から夜にかけての出番が多いです。とあるお祭りでは暗くなり始めたあたりから演奏をスタートしました。最初は明るかったのですが、時間が経つにつれてだんだん暗くなっていきました。周りの電気も消えていました。
エレクトーンの近くに照明は用意されておらず、後半は真っ暗です。鍵盤も、ほとんど見えません。遠くにいるお客さんからは、私の姿も見えていなかったと後から聞きました。
演奏中はブラインドタッチ状態で、初めての経験でした。焦りましたが、幸い弾き慣れている曲ばかりでした。指が覚えており、特に大きな失敗もなく終えられました。それ以来、夜の演奏があるときは、照明の準備について事前にしっかり確認するようにしています。

夏祭りのハプニングが、もう1つあります。
昨年演奏した夏祭りは、山に囲まれた場所で行われました。夏の夜、屋外で明るい照明を置くと、あることが起こります。
虫が大量に寄って来るのです。
演奏前からかなり虫がいることは分かっていましたが、実際にステージに立つと想像を超える量でした。エレクトーンがお客さんからよく見えるように、スタッフの方が照明を強めに当ててくださいました。
そのため、照明に照らされたエレクトーンの鍵盤には虫が居座っていたのです。カメムシやカナブンなど大きめの虫たちです。司会の方やお客さんに虫を取ってもらって、なんとか演奏を始めました。
演奏中も虫が飛び回っています。音楽に合わせて踊ってくれているかのようです。私は虫が大の苦手です。気を失いそうになりながらも、なんとか無事演奏を終えることができました。
虫のおかげで司会の方やお客さんたちとは距離が縮まりました。結果的に楽しい夏祭りの思い出となりました。このハプニングは、これまででいちばんのピンチでした。
何事もなく予定通りに進められる現場ばかりではありません。これからも色々なハプニングが起きると思います。臨機応変に対応できるように備えていきます!
【エレクトーン奏者 ほりピ】
(注)「エレクトーン」はヤマハ株式会社の登録商標です。


〇 ほりピ 〇
鳥取県出身のエレクトーン奏者。4歳からエレクトーンを始める。一度エレクトーンから遠ざかっていたが、恩師の支えでプロ演奏家の道に進んだ。2025年4月に東京都内で初の路上ライブを行うと、観客がSNSに投稿した演奏動画が280万回再生を突破した。エフエム山陰でラジオパーソナリティも務める。ヤマハ音楽教室講師。
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