【覆面調査 世界の山陰グルメ】「山陰漁港直送 うおはる」(大阪)

「山陰漁港直送 うおはる」の店舗前
「山陰漁港直送 うおはる」の店舗前

大阪市阿倍野区に鳥取県の食材を使った居酒屋がある。「山陰漁港直送 うおはる」だ。(以下 うおはる)

近鉄大阪阿部野橋駅の中改札口を出て左に進むと、2番中南口がある。そこを出て左にいくと、すぐに「うおはる」へたどり着く。目立つ看板が目に入るので場所は分かりやすい。

中に入ると、カウンターとテーブルを合わせて約60席ほどある。店内には昭和の曲が流れている。

山陰の地酒「鷹勇(たかいさみ)」があったので注文してみた。メニューには「うおはるの魚と相性抜群」と推奨されている。「蔵元直送、濃い味わいとキレのある辛口が魚と相性抜群」とも書かれている。

「鷹勇」は鳥取県琴浦町の酒蔵「大谷酒造」が製造している。いろいろな料理との相性が良い辛口の酒で、飲み飽きないと言われている。

この日、メニューに書かれた地酒は40数種類。山陰の地酒は「鷹勇」のみで、北海道から山口、新潟など全国の地酒が置いてある。

初心者マークをつけた店員に、地酒について聞いてみた。分からないようだったが、ベテラン店員に確認に行き最後まで丁寧に答えていた。

メニューの写真を撮ろうとした時、店員がちょうど日本酒を持ってきた。撮影の邪魔をしないよう無言で待ち、撮影が終わってから日本酒を置いた。

鳥取の食材を使った料理を注文してみた。

「活サザエのお刺身」「サヨリの姿造り」「白バイ貝のお刺身」「活〆ヒラメのお刺身」

他には白イカやイシダイ、本アラの刺身が鳥取の食材を使ったものだった。

「サヨリの姿造り」
「サヨリの姿造り」
「活〆ヒラメのお刺身」
「活〆ヒラメのお刺身」
左から、イシダイ・白イカ・本アラ・白バイ貝・活サザエ(それぞれ単品で注文したが、1つの器に盛りつけてくれた)
左から、イシダイ・白イカ・本アラ・白バイ貝・活サザエ(それぞれ単品で注文したが、1つの器に盛りつけてくれた)

「本日のオススメ刺身&限定メニュー」には全部で8品書いてある。そのうち3品が鳥取の食材を使っていた。

鳥取の食材は週に3回ぐらい仕入れるという。何を出すかは仕入れのタイミングにより、その時どきで決まる。つまりメニューはいつも同じとは限らない。卸市場から仕入れるものと直接現地に行って仕入れるものがある。

オーナーの友人が鳥取で商売をしていた関係で、現地に仕入れに行くようになったのだという。

山陰以外の地域から仕入れた食材を使うメニューもある。店としては山陰の食材だけにしたいところだが、そろわないこともあるので他の地域の食材も使っているという。

「山陰産タグ付き松葉ガニ」を使ったメニューがあった。松葉ガニはシーズン中にトラックで鳥取などに行き、大量に仕入れる。店内や店舗前の水槽で生きたまま育てるという。このためシーズンが終わっても、しばらくの間は松葉ガニを食べることができる。

松葉ガニを生きたまま育てている水槽
松葉ガニを生きたまま育てている水槽

どの店員も愛想が良い。混雑していて忙しいはずであるが、嫌な顔もせずに快く質問に答えてくれる。

混んできたので、筆者は隣の席に置いていた荷物を動かそうとした。店員が「何か不都合がありましたか?」と気づかいの声をかけてきた。

鶏の唐揚げを出すのが少し遅れぎみだったとき、店員と目があった。「唐揚げ、ちょっとお待ちくださいね」と、ここでも気づかいの言葉だ。

実際は、それほど遅れているわけではない。催促するつもりもなかったのだが、察してくれたのだろう。スタッフ教育が行き届いていて、接客に力を入れている印象が強い。

ちなみに、この唐揚げは「但馬どり(たじまどり)」を使っている。兵庫県但馬地域のブランド鶏で、「株式会社但馬どり」が販売している。

「株式会社但馬どり」は、鳥取県米子市に本社を置く「株式会社大山どり」の傘下にあるグループ会社だ。そういう意味では「但馬どり」も、鳥取県にゆかりのある食材といえるかもしれない。

会計を済ませて店を出る時、見送る店員。なぜ昭和の曲が流れているのか聞いてみた。客層に合わせて選曲しているのだという。

「ピンクレディの曲もかけますよ」と、最後までノリの良い接客態度であった。

(この企画は素性を明かさずに客として来店し、覆面調査の形で見聞きした内容を記事にしています。また、取材日時点の情報をもとに記事を執筆しています。営業内容などの詳細は店舗でご確認ください)

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