
<「HOPE~本を焼き尽くす悪魔~」 劇団銅鑼>
戦時下そして迫害の最中、絶望のどん底で人々の希望は「本」だった。「本」が絶望から救いだしてくれると信じる者がいた。彼らは「本」を救出するために命をかけた。
狙撃兵の目をかいくぐり、捕まって処刑される危険をかえりみず、空襲を避けながら人々は本を救い出した。救出中に命運が尽きた本もあった。兵士は戦場で本の無事を祈った。
2010年代のシリアで、地下に「秘密の図書館」を作った人たちがいた。1940年代のリトアニアに、ナチスから本を守った「紙部隊」と呼ばれる部隊があった。1940年代の日本で、戦禍を逃れるために本を“疎開”させた人たちがいた。
異なる時代、異なる国で起きた3つの実話を組み合わせてつくった舞台が始まる。劇団銅鑼(どら)の「HOPE~本を焼き尽くす悪魔~」だ。

2024年4月、劇団銅鑼の団員が、稽古場に1つの話を持ち込んできた。かつてシリアの地下に「秘密の図書館」があったという。
2010年代、アサド政権下のシリアは内戦状態にあった。街が封鎖され、反政府勢力は食糧や医療品の補給も絶たれていた。多くの人は街を去った。
このようなとき、シリアの都市ダラヤに残った人たちがいた。人々は危険をかえりみず、破壊された建物や、がれきの中から本を“救出”して地下に秘密の図書館をつくった。図書館は人々にとって唯一のいこいの場所になった。
食糧もない中、なぜ人々は本を守ったのか。劇団銅鑼は調べた。リトアニアや日本でも戦時下や迫害の中で、本を守った人たちがいることがわかった。
ある者は国家を再建するために。ある者は民族の文化を継承するために。ある者は文化遺産の存亡をかけて本を守った。
3つの時代に3つの国で起こった実話を、ひとつの物語にまとめて舞台化することが決まった。
主人公の辻優希(つじ・ゆうき)は、新聞部に所属する中学生だ。あることが原因で学校にいけなくなっていた。ある日、画家である母のアトリエ探しについていくことになる。
アトリエの候補地である古い蔵で、優希はタイムスリップしてしまう。シリア、リトアニア、日本。優希は、過去の戦時下に巻き込まれて、時代と国を行き来する。現代に戻った優希は何を思うのか。
「HOPE~本を焼き尽くす悪魔~」は、2026年2月25日から3月8日まで上演される。会場は東京都板橋区にある「銅鑼アトリエ」だ。


