チェコ国立バレエ団 香港公演開催

公演終了後、観客に挨拶をするチェコ国立バレエ団の出演者たち(1列目、右から2番目が井口陽花さん)
公演終了後、観客に挨拶をするチェコ国立バレエ団の出演者たち(1列目、右から2番目が井口陽花さん)

チェコ国立バレエ団が、香港で「ラ・シルフィード」の公演を行った。鳥取県出身の井口陽花さんが所属するバレエ団だ。「香港アートフェスティバル」の一環として2025年3月6日から3月8日までの間に、全4回上演された。井口さんは、ファーストシルフの役で出演した。

「ラ・シルフィード」は、オリジナルの形で現存する最古のバレエと言われている。日常生活の現実と、魔法の世界の魅力や危険性を対比させたファンタジーだ。

結婚式の前夜、魅惑的でいたずら好きなシルフに夢中になったジェームズは、彼女と駆け落ちをする。ジェームズは、人間と超自然的な存在の愛は単純ではないと気づく。邪悪な魔女、マッジに助けを求め悲劇的な結末を迎える。

公演最終日の8日は土曜日。前日までの雨が止み快晴で、気温は18度台まで上がった。前日まで街を歩く人は防寒着を着ていたが、屋外を歩く時は上着が必要ないほどの暖かさとなっていた。

この日は午後2時30分と午後7時30分の2回上演され、日本からの観光客を含む多くの観客が鑑賞に訪れた。劇場入口近くに設置された看板の前は、公演の前後に記念撮影をする人で賑っていた。

看板の前で記念撮影をする来場者

「香港アートフェスティバル」は世界で最も有名な国際イベントの一つだ。今年、53回目を迎える。音楽・ダンス・演劇など1,500人以上の中国内外のアーティストが集まり、芸術作品を披露する。国際文化交流の促進などを目的としたイベントだ。チェコ国立バレエ団はチェコ共和国の首都、プラハから訪れた。

公演は香港にある「香港文化センター」の大劇場で行われた。「香港文化センター」はコンサートホールや大劇場、展示ギャラリーなどの施設を備えた文化施設だ。九龍半島の南端にあり、ビクトリア湾に面した場所にある。

香港文化センター
香港文化センター
開演を待つ観客(香港文化センター 大劇場の中)
香港文化センター 大劇場

このあたりは、夜景が素晴らしいことで知られる地域だ。アクション俳優、ブルース・リーの銅像で有名な「アベニュー・オブ・スターズ」や、有名高級ホテルの「ザ・ペニンシュラ香港」などが近くにある。

今回は、ヨハン・コポーグが振付を行っている。デンマークの著名な振付家だ。デンマーク第3の都市、オーデンセの芸術一家に生まれ、テノール歌手として訓練を受けた後、デンマーク王立バレエ学校などで学んだ。

1989年、デンマーク王立バレエ団に見習いとして入団したヨハンは、1994年に「ラ・シルフィード」のジェームズ役でデビューした。後にロンドンのロイヤルバレエ団などでも活躍した。振付家としてはルドルフ・ヌレエフ国際コンクールのグランプリなど様々な賞を受賞している。

この日、1,734ある客席は満席の状態で、感動のうちに3日間の幕を閉じた。

チェコ国立バレエ団が最終公演を行っている時間帯の香港文化センター(最前列中央の建物が香港文化センター=ビクトリア湾上から撮影)(現地時間2025年3月8日午後8時30分頃)
チェコ国立バレエ団が最終公演を行っている「香港文化センター」(最前列中央の建物が香港文化センター)(現地時間2025年3月8日午後8時30分頃=ビクトリア湾上から撮影)

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