「名古屋マンドリン合奏団」創立60周年 鳥取出身者が常任指揮者

「名古屋マンドリン合奏団」のリハーサルで指揮をする深堀賢太朗さん
「名古屋マンドリン合奏団」のリハーサルで指揮をする深堀賢太朗さん(中央)

5月24日、愛知県名古屋市を拠点に活動する「名古屋マンドリン合奏団」が創立60周年を迎える。鳥取県米子市出身の打楽器奏者、深堀賢太朗さんが常任指揮者を務めるオーケストラだ。

同合奏団は1964年5月24日に、名古屋大学マンドリンクラブの卒業生数名により「マンドリン音楽を楽しむ会」として発足した。これまで64回の定期演奏会を行ってきた。中国やオーストラリアなど海外でも公演を行っている。

深堀さんは打楽器奏者として活動するかたわら、2016年9月から同合奏団の指揮者を務めている。打楽器奏者としては鳥取県立米子東高校在学中の2011年に、第13回日本ジュニア管打楽器コンクール打楽器部門の「マリンバ演奏」で金賞を受賞した。

打楽器の得意分野はマリンバやスネアドラムだが、他にも多彩な楽器を演奏する。打楽器奏者は1種類の楽器だけではなく、幅広い楽器を演奏するのが特徴なのだという。深堀さんが演奏できる打楽器は主なものだけで100種類を超える。年間100公演に出演した年もある。2020年から2022年には劇団四季のミュージカル「ライオンキング」にパーカッション奏者として出演した。

鳥取を離れて13年の深堀さん。「米子は好きな街。大山のふもとなので自然が多い。部活ばかりやっていたが、楽しい思い出ばかりです」とふるさとへの思いを語る。また「名古屋は第二のふるさと。ここで活動できてうれしい」とも。

今後の目標は「鳥取県出身の音楽家と一緒に何かをやること」だという。鳥取県ではテノール歌手の山本耕平さんや、チェロ奏者の村岡苑子さんなど著名な音楽家を輩出している。

今年8月4日、名古屋市のウィルホール(ウィルあいち4階)で「名古屋マンドリン合奏団」創立60周年記念として、第65回定期演奏会が行われる。NHK大河ドラマ「江~姫たちの戦国~」のメインテーマや、映画「パイレーツ・オブ・カリビアン」のテーマ曲「彼こそが海賊」などを演奏する。深堀さん自身によるマリンバのソロ演奏も企画されている。

第3部では深堀さんが編曲したプッチーニの歌劇「トスカ」を演奏する。マンドリンのオーケストラで歌劇の演奏をするのは珍しい。歌劇は本来、歌があって成り立つ音楽だ。歌の無い形式で演奏することは少ない。「トスカ」は楽器のみで魅力が十分に引き出せると思い挑戦することにしたのだという。歌の無い形式による楽譜が存在しないため、必然的に深堀さんが編曲することになった。

深堀さんは「歴史ある団体で指揮者をやらせてもらっているのは恐縮。今年も例年以上に気合いを入れて準備している。盛りだくさんの内容で飽きさせない」と意気込みを語っていた。

マリンバの演奏をする深堀賢太朗さん

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