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  3. かわいらしいのに不気味な「ポッサム」 【動物目線のオーストラリア暮らし】(第1回)

かわいらしいのに不気味な「ポッサム」 【動物目線のオーストラリア暮らし】(第1回)

2026 3/15
国際
2026年3月15日
サン・レターズ・プレス(ゲスト)
オーケストラリアの動物「ポッサム」
オーケストラリアの動物「ポッサム」

私はいま、ブリスベンの大学に通っています。ブリスベンは海沿いにあるオーストラリア第3の都市で、2032年の夏季オリンピック開催地でもあります。

現在、いたる所で街の再開発やインフラ整備が進められています。私の周りでも新しいマンションが建ったり、駅が改修されたりしています。

私はブリスベンで3年間暮らしています。この街の1番の魅力は、発展した都市でありながら自然との距離が近いことだと感じています。

バス停へ向かう途中には、広々とした公園があります。そこを数分歩くだけで、色鮮やかで賑(にぎ)やかな鳥や、大きくて立派な樹木を目にすることができます。

オーストラリア第3の都市「ブリスベン」
オーストラリア第3の都市「ブリスベン」

オーストラリアでは、独自の進化を遂げた生物が生息しています。他では見られない生き物が多くいます。例えば、野生のオウムやインコです。日本でもよく知られる、コアラを代表とする有(ゆう)袋類(たいるい)もいます。

実は、そうしたユニークな生き物たちは、森の奥深くではなく、意外にも人が生活しているすぐ横にいるのです。

今回、ご縁があり連載を書く機会をいただきました。

私が実際に見たこと聞いたことを交えながら、ブリスベンの身近な生き物について紹介したいと思います。

第1回目は、私の家にもよく訪(たず)ねてくる「ポッサム」という動物です。

帰り道にふと気配を感じて顔を上げると、ポッサムと目を合わせることがよくあります。木につかまって、こちらの様子をじっと窺(うかが)っています。

ポッサムは小型の猫ほどの大きさで、丸っこい耳に、ふさふさとした長い尻尾(しっぽ)があります。

コアラと同じ有(ゆう)袋類(たいるい)で、オーストラリア固有の動物です。メスは腹にふくろ(・・・)を持っています。ポッサムの赤ちゃんはふくろ(・・・)の中で育ちます。

性格は臆病(おくびょう)です。ときには自分よりも小さな鳥に追われて、慌てて逃げ出している姿を目にします。

彼らは夜行性の生き物です。日が暮れたら木の上をのそのそ(・・・・)と移動しはじめます。

暗い道を歩いていたとき、ポッサムが私の目の前に、いきなり落ちてきたことがあります。電線を伝って移動しようとしたポッサムが、足を滑らせたのです。私はびっくりして、思わず飛び退(の)きました。

街の中で見かける「ポッサム」
街の中で見かける「ポッサム」

かわいらしい見た目とは裏腹に、ポッサムの鳴き声はかなり不気味です。

ブリスベンに引っ越して間(ま)もないころ、夜中に本を読んでいたら、外からしゃがれた(・・・・・)鳴き声が聞こえてきました。「ンガガガ……」という声です。

かすかな物音とともに聞こえてきた声は、まだ環境の変化に慣れていなかった私の恐怖を煽(あお)りました。その時は外を確認することもせず、そのまま窓を閉め、寝てしまいました。

後日調べて、声の主(ぬし)がポッサムだと分かっても、すぐには信じられませんでした。あの恐ろしげな声と、かわいらしい見た目が、なかなか頭の中で合致しませんでした。

夜行性のポッサムは、日が暮れ始めると活発に動き出す
夜行性のポッサムは、日が暮れ始めると活発に動き出す

ブリスベンでは、人とポッサムが自然に隣り合って暮らしています。そのため、ときにはご近所トラブルが起こることもあります。

ポッサムが電線や周りの木から家の天井裏に入り込んで、住み着いてしまうことがあります。

私も、取り込み忘れてしまったバスタオルに、フンを落とされてしまった苦い思い出があります。

町のホームセンターにはポッサム対策の道具も売られています。驚いたことに、ハエやハチの対策に使う「防虫スプレー」と同じコーナーに置いてあるのです。

それほどポッサムは、かわいらしい存在であると同時に、現地の人にとっては悩みの種でもあります。

もし、みなさんがブリスベンに来てポッサムを見つけたとしても、絶対に素手で撫(な)でようとはしないでください。

噛まれたり引っ掻(か)かれたりすると、傷口に菌が入り膿(う)んでしまうことがあります。ひどいときには、狂犬病という恐ろしいウイルスに感染してしまったケースもあると聞きます。

お互いの距離感を大事(だいじ)にして、過度に近づきすぎないことが、共生する1つの鍵なのだと思います。
【オーストラリア在住 Haruki Umemura】

○ Haruki Umemura ○
愛知県出身。幼少期から生物に興味があり、研究者を目指す。海洋生物学を学ぶため、研究が盛んなオーストラリアの大学に進学することを決意。高校卒業後、2023年4月にオーストラリアへ渡航した。シドニーの語学学校で学んだ後、2024年、ブリスベンのクイーンズランド大学に入学。同大学で海洋生物学について学んでいる。ブリスベン在住。

ブリスベン市内の夜景
ブリスベン市内の夜景
ブリスベンの市内には自然豊かな公園がある
ブリスベンの市内には自然豊かな公園がある

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オーケストラリアの動物「ポッサム」

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